迷惑防止条例違反とは

迷惑防止条例違反とは

京都府の迷惑防止条例では、1条にその目的として「この条例は、公衆に著しく迷惑をかける行為及び人に不安を覚えさせる行為を防止し、もって府民、滞在者等の平穏な生活を保持することを目的とする。」との規定がなされています。

 

迷惑防止条例は親告罪と呼ばれる、被害者による被害届の提出がなくとも、警察などの捜査機関による捜査が可能となっています。

 

迷惑禁止条例で禁止されている行為の例としては、痴漢、盗撮、ストーカーなどの行為などがあります。

 

それぞれの行為について定義等を確認していきたいと思います。

 

◆痴漢
痴漢とは、相手の意思に反して卑猥な言動や行為などの嫌がらせをすることを指します。

 

痴漢行為の典型的な例としては走行中の電車内で身体に触れる行為が考えられます。
また電車だけでなく、バスなどの交通機関はもちろんのこと、店舗やエレベーターなど比較的人が密集しやすい場所で痴漢行為が行われるケースが多くなっています。

 

時間帯も朝や夕方のラッシュ時が犯行時間になりやすくなっています。

 

よくご質問としていただくのが、刑法犯の強制わいせつ罪や公然わいせつ罪との違いです。

 

強制わいせつ罪は「暴行又は脅迫を用いて、わいせつな行為」をすることを指します。
痴漢との違いは「暴行又は脅迫」の存在の有無です。痴漢は相手の意思に反して言動や行為で嫌がらせをするのに対し、強制わいせつは相手の反抗を抑圧する程度の脅迫や暴行を用いるため、「騒いだら危害を加える」といった発言や手足を押さえつけるなどの行為が伴います。

 

公然わいせつ罪は、「公然とわいせつな行為」をすることを指します。

 

「公然」とは不特定多数の人が認識することのできる状態であり、路上などで性器を露出する行為などが公然わいせつに当たります。
他人に直接的に害を加える痴漢と区別することができます。

 

◆盗撮
盗撮と聞くと、人の身体や下着などの他人には見られたくない恥部を、本人の意思に反して撮影する行為を想像される方がいらっしゃると思います。

 

これらの行為ももちろん盗撮にあたりますが、近年では映画を撮影する行為があり、これも立派な盗撮行為となります。

 

盗撮は、撮影の対象物によっては迷惑防止条例違反にとどまらず、より大きな事件に発展してしまうことがあります。

 

・軽犯罪法違反
他人の住居など、公共の場所以外で盗撮をした場合には、軽犯罪法違反となります。軽犯罪法での刑罰は、1日以上30日未満の拘留又は1万円未満の科料となります。

 

・児童ポルノ禁止法
児童ポルノ禁止法では、①18歳未満の児童を相手とする性行為、又は18歳未満同士の性行為又は性交類似行為、②18歳未満の児童の性器等を触る行為等、③18歳未満の児童が衣服の全部、又は一部を着衣がない児童の姿態であって性欲を興奮刺激するもの、が児童ポルノに該当するとされています。

 

児童ポルノを所持していた場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、提供をした場合には3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。

 

・住居(建造物)侵入罪(刑法130条)
盗撮をするために、他人の住居に侵入した場合には住居侵入罪、同様の目的で他人が管理するビルなどの住居以外の建造物に侵入した場合には建造物侵入罪が成立します。

 

この場合には、盗撮行為(迷惑防止条例)が目的、侵入行為が手段の関係になるため、牽連犯(けんれんはん)という処理がなされ、2つの罪のうち、刑罰が重いものが適用されることになります。

 

一般的には迷惑防止条例よりも刑法典に規定されている罪の方が重いため、この場合には住居(建造物)侵入罪の3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科されます。

 

・知的財産権侵害
上映中の映画や撮影が禁止されている美術品、展示品などを録画、撮影した場合には、知的財産権を侵害したとして罪に問われます。

 

著作権法119条によれば上記の例に挙げた行為は10年以下の懲役又は1000万円いかの罰金が科せられるとしています。

 

◆ストーカー行為(付きまとい)
ストーカー行為とは、正当な理由がないにもかかわらず、つきまといや待ち伏せなどをする行為を指します。また、それらにとどまらず、監視していると思わせるようなことを告知したり、面会要求、乱暴な言動、無言電話や嫌がらせメールを送る、汚物を送りつける、名誉を毀損する、性的羞恥心を害する行為などもストーカー行為に当たり、非常に処罰範囲が広くなっています。

 

上記に挙げたのは一例であり、ストーカーをしているものと被害者との関係性などからどのような行為をストーカーとして認定するか、裁判所が総合的に判断をします。

 

迷惑防止条例に違反していないにもかかわらず、逮捕されてしまった場合には、取り調べなどで絶対に罪を認めてはいけません。
自白は刑事裁判において非常に重要な資料となります。

 

そのため、早期に弁護士に依頼をすることで今後の戦略を立てられますし、自白を強要するような発言があった場合には、起訴後に弁護士の方からしっかりと対応をさせていただきます。

 

弁護士法人大久保総合法律事務所では、迷惑防止条例違反で起訴された方の、刑事裁判に対応しております。
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