【弁護士が解説】精神的苦痛でも傷害罪が成立するケースとは
「傷害罪」というと、殴る・蹴るなどの暴力で相手を傷つける犯罪行為を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし実際には、相手を精神的に傷つけて重大な影響を与えた場合も、傷害罪として扱われることがあります。
本記事では、最高裁判例を確認しながら、精神的な攻撃がどのような場合に傷害罪として認定されるのか、わかりやすく解説します。
傷害罪は精神的苦痛によっても認定される
暴力をふるって体を傷つけることだけが傷害罪ではありません。
心に深い傷を負わせる行為によっても、傷害罪が成立する可能性があります。
被害者の精神に重大な影響を与える以下のような行為は、傷害罪として扱われることがあります。
- 職場でのパワーハラスメントにより、従業員が重度のうつ病を発症するケース
- 学校内でのいじめ行為によって、生徒が深刻な不安障害に陥るケース
- 性暴力被害によってPTSD(心的外傷ストレス)を発症するケース
- 配偶者からの継続的な精神的暴力で、自尊心が著しく低下するケース
身体的な傷跡が残らなくても、精神的な健康を損なわせる行為は重大な犯罪となります。
被害者が目に見える怪我を負っていないからといって、その行為の悪質性が低くなることはありません。
精神的なダメージにより傷害罪が成立するケース
傷害罪が成立するのは、身体への暴力で相手を傷つける行為だけではありません。
被害者の心に深い傷を負わせるような行為でも、法的に傷害罪として認定されることがあります。
精神的な加害行為であっても、被害者の健康状態に重大な影響を及ぼす場合は傷害罪が成立するのです。
実際の判例からも、外見上の怪我がなくても傷害罪として扱われるケースが確認されています。
騒音による精神的被害で傷害罪が認められた判例
最高裁が平成17年に下した判決で、隣人に対して長期間にわたり騒音を流し続けた行為が傷害罪として認定されました。
大音量のラジオやアラーム音を1年半以上も意図的に流し続けた結果、被害者が慢性頭痛や睡眠障害を発症した事実が認められ、これらの症状は騒音が原因だと判断されています。
一般的な音量であれば健康被害は発生しませんが、この事例では隣家の窓際で継続的に大音量を流し続けたことにより、被害者の健康が損なわれました。
このケースは、物理的な暴力を伴わなくても、意図的に相手の健康状態を損なう行為が傷害罪として扱われることを示しています。
PTSDが傷害罪と認められた判例
平成24年の最高裁判決により、犯罪被害によって発症したPTSDも、法律上の傷害として認定されることが明確になりました。
性犯罪や強盗事件などの重大な犯罪被害によって発症するPTSDは、身体の怪我と同様に傷害罪の対象となる精神的なダメージです。
まとめ
傷害罪は身体的な暴力だけでなく、精神的なダメージによっても成立します。
判例からは、騒音被害によるストレス性の症状、犯罪被害によるPTSDなど、直接的な暴力を伴わない行為でも、相手の心身に深刻な影響を及ぼす場合は傷害罪として扱われることが明らかです。
このような精神的な暴力による被害に遭われた場合は、早期に弁護士への相談をおすすめします。
専門家による適切な法的アドバイスを受けることで、被害の回復と適切な法的措置を講じることができます。
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