風俗営業法違反に対する行政処分
風営法に規定されている行政処分は主に3種類あります。
「許可取消し」「営業停止」「指示」の3つです。
これらのうちどれが適用されるかは違反行為の内容と態様によって異なり、各都道府県公安委員会は警察庁が定めた処分基準を目安に処分を行います。
◆許可取消し(風営法8条各号)
許可取消しに関する規定は風営法の8条に記載されており、以下のとおりとなっています。
風営法第八条
公安委員会は、第三条第一項の許可を受けた者(第七条第一項、第七条の二第一項又は前条第一項の承認を受けた者を含む。第十一条において同じ。)について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。
一 偽りその他不正の手段により当該許可又は承認を受けたこと。
二 第四条第一項各号に掲げる者のいずれかに該当していること。
三 正当な事由がないのに、当該許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。
四 三月以上所在不明であること。
まず最初の記載にある第三条第一項の許可とは、風俗営業の許可を指し、第七条第一項、第七条の二第一項とは風俗営業店の相続や、法人の合併を指します。
つまり風俗営業の許可を受けた者もしくはその地位を承継した者に各号事由の該当性が認められた場合には、営業許可の取消し対象となるということです。
一号、四号については規定のとおりとなっているため、別段の解説は必要がないことと思います。
二号の第四条第一項各号とは人的欠格要件です。第四条を引用すると非常に膨大な量となってしまうため、一部をピックアップすると特定の犯罪に関わり有罪判決を受け、刑の執行終了後5年を経過していない方が、風俗店を営業していた場合には許可の取消しをされてしまいます。
他にはアルコールや危険ドラッグ等の中毒者、心身故障者などが営業許可の取消し対象となることがあります。
次に三号に規定されている「正当な事由」の解釈についてです。
「経済情勢の変化や自然災害の発生等許可を受ける時点では予測し得なかった事態が発生したこと等営業を開始できない、又は営業を休止せざるを得ないことについて合理的な理由がある場合をいう。したがって、単なる経営不振や資金入手の見込み違いにより営業の開始又は再開が見込めない場合」には正当な事由に当たらないとされています。
◆営業停止(風営法第26条)
第26条では、業務の適正化のために違反の程度に応じて行政処分を行う旨が規定されています。
要件としては
①法令及び条例に違反し、しかも著しく善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全の育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき
②風営法にもとづいて行なれた公安委員会の処分に違反したとき
③公安委員会が定めた風俗営業許可の条件に違反したとき
のいずれかに該当したときが挙げられます。
①は営業者が営業に関する法令違反行為をした場合の処分となります。公安委員会は許可取消、営業停止(6ヶ月以内)、指示と違反の軽重により処分を決めることができます。
②は公安委員会が営業停止または指示の処分をした後で、営業者がその処分に従わずに営業を継続したり、指示を守らなかった場合に重い行政処分を下すことができるというものです。
③は風俗営業許可の際に、風俗営業者に特殊な事情が生じた場合には、公安委員会が許可に条件を付すことができます。営業者がその条件に反する行為をしていた場合には行政処分を下すことができるというものです。
ここまで読んでいただけたら分かるように、公安委員会に比較的広範な裁量が認められていると言えます。
そのため風営法第26条の違反により、行政処分をされる営業者に対しては、上記該当事由に関する意見を陳述する機会が与えられ、その陳述によっては行政処分がなくなる、もしくは少し軽くなるといったことが考えられます。
弁護士法人大久保総合法律事務所では、京都府を中心に風俗店を営業されている方で行政処分の対象となってしまった方の意見陳述のアドバイスなどを提供しています。
お困りの方はご相談ください。
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
18歳未満だと知らなかった場合
援助交際・児童買春事件で児童自身が年齢を詐称した場合など、相手が18歳未満であることを知らなかったというケース […]
-
痴漢事件や強制わいせつ事件の時効は何年?
痴漢事件・強制わいせつ事件は、主に女性の被害者に対して性的な嫌がらせをすることをいいます。痴漢と強制わいせつの […]
-
【弁護士が解説】万引き・窃盗は現行犯以外でも捕ま...
万引きや窃盗のニュースを目にしたとき、ふと「これは現行犯で捕まったのか?」と考えることはないでしょうか。特に、 […]
-
恐喝を認める場合
恐喝を認める場合のように犯罪を認める事件を自白事件といいます。 自白事件の弁護では、被疑者(俗にいう […]
-
パパ活で逮捕されるのはどんなケース?援助交際との...
近年、専門のアプリなども開発され、パパ活は社会に広く浸透しています。パパ活とは、女性が食事やデートなどの対価と […]
-
風俗営業法違反に対する行政処分
風営法に規定されている行政処分は主に3種類あります。「許可取消し」「営業停止」「指示」の3つです。 […]
-
傷害事件の示談金|全治1週間の場合の相場はいくら...
傷害事件とは、被害者に暴行を加えるなどして、結果的に怪我をさせてしまった事件のことをいいます。傷害事件を起こし […]
-
痴漢冤罪でやってはいけないことや弁護士に相談する...
冤罪事件は法治国家である日本であってはならないことではありますが、現実には完全に排除できていない問題でもありま […]
- 京都 刑事事件の相談窓口にお任せください!
- 刑事事件に強い弁護士が丁寧にサポートいたします。
営業時間外・休日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
よく検索されるキーワード
Search Keyword
弁護士紹介
Staff
刑事事件の解決は初動の動きが重要です。逮捕後の72時間が勝負です。
緊急性の高い刑事事件において迅速かつ丁寧に対応します。
どうしたいのか?最適な道筋は何なのか?ということについて,依頼者様の意思に基づいて対応します!
見通しの立ちにくい場合であっても、最後まで諦めず対応します。
最後まで希望を捨てないでください!
近畿大学(Kindai Picks)のインタビュー記事はこちら
事務所概要
Office
事務所名 | 弁護士法人大久保総合法律事務所 |
---|---|
代表者 | 大久保 勇輝 (おおくぼ ゆうき) |
所在地 | 〒604-8166 京都市中京区三条通烏丸西入御倉町85-1 KDX烏丸ビル4階 |
TEL/FAX | TEL:050-1751-0504/FAX:075-708-5575 |
営業時間 | 8:00~24:00(事前予約で時間外も対応可能です。) |
定休日 | 土・日・祝日(事前予約で休日も対応可能です。) |
外部リンク | 弁護士法人 大久保総合法律事務所 |
- 京都 刑事事件の相談窓口にお任せください!
- 刑事事件に強い弁護士が丁寧にサポートいたします。
営業時間外・休日も対応可能です。お気軽にご相談ください。