傷害と暴行事件の違い

傷害と暴行事件の違い

傷害事件と暴行事件の違いは、刑法上の傷害罪にあたる行為がなされた事件であるか、暴行罪にあたる行為がなされた事件であるか、というところにあります。

 

傷害罪について、刑法は「人の身体を傷害した者」と規定しており、最高裁はここでいう傷害を、「人の生理的機能に障害を加えることをいう」としています。そのため、殴る蹴るといった暴行により相手の身体を傷つけたときだけでなく、無言電話をかけ続けるなど物理的な攻撃を加えなかった場合でも、相手がPTSDといった障害を負ったときには傷害罪が成立することになります。
傷害罪に対して暴行罪では、刑法は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」と規定しています。そのため、相手の身体に対して殴る蹴るなどの物理的な攻撃を加え、それによって傷害を負わなかったときに暴行罪は成立することになるのです。
つまり、物理的な攻撃に限られ、程度が軽いものが暴行事件であり、物理的な攻撃に限られず、程度の重いものが傷害事件となるのです。

 

傷害や暴行に類するものとして、過失傷害と呼ばれるものもありますが、過失が不注意という意味であることから、故意に相手の障害を負わせた傷害罪と違い、何らかの不注意によって相手に障害を負わせてしまった場合が過失傷害罪となります。交通事故で相手に怪我を負わせてしまった場合などが典型例となりますが、交通事故にみせかけて当たり屋に訴えられた場合などもこの過失傷害が問題となります。

 

傷害事件の刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金、暴行事件の刑は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料と規定されています。ここで拘留は刑務所などの刑事施設において、刑務作業と呼ばれる労働なしで30日以内の身体拘束を受ける罪、科料は1000円以上1万円未満の金銭を徴収される罪を指します。

 

傷害事件や暴行事件では、被害者が被害届を出すことによって発覚し、加害者の特定といった警察による捜査がなされるという流れになります。
警察から傷害・暴行事件の被疑者(俗にいう容疑者)として捜査を受けた場合には、できるだけ早く弁護士に相談することが大切となります。相談を受けた弁護士は、被疑者に有利な証拠を収集する、被害者との示談交渉を行うなどの弁護活動を行います。特に示談は傷害・暴行事件において有効であり、被害者やその弁護人との交渉により、治療費や慰謝料などといった示談金の支払をする代わりに、相手には被害届を取り下げてもらうことで、不起訴といった有利な処分が期待できます。

 

弁護士法人大久保総合法律事務所は、京都市や大津市、草津市を中心に京都府、滋賀県、大阪府、兵庫県の皆様のお悩み解決に尽力しております。傷害・暴行事件だけでなく、恐喝事件や痴漢・わいせつ事件など、刑事事件でお困りの際はぜひ弁護士法人大久保総合法律事務所までご相談ください。

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