傷害・暴行事件被害にあった
傷害・暴行事件の被害にあった場合に最初に行うべきことは、被害届を警察に出し、事件の発生を知らせることです。
傷害・暴行事件では目撃者が警察に通報するなどして事件が発覚する場合もありますが、誰も見ていない場所で事件が起こる場合があり、目撃者がいたとしてもその目撃者が通報してくれるとは限らないため、被害者自身が警察に届け出ることが大切となります。
また、刑事事件では、一定の期間を越えると刑事事件の加害者としての刑事責任を問うことができなくなってしまう時効という制度が存在します。この期間は傷害事件では10年間、暴行罪では3年間と設定されているため、被害を受けた場合にはいち早く被害届を出し、警察に捜査を開始してもらわなければ泣き寝入りすることにもなりかねません。
被害届を提出し、警察による捜査で加害者が明らかとなった場合、加害者側から示談交渉を持ちかけられることがあります。示談とは民事上の被害者と加害者の間の紛争解決をいいます。示談交渉は被害者と加害者という当事者間においてなされるものであり、交渉であるため決まりごとはなく、当事者が内容を様々に変えることができます。
示談では、①加害者が警察に被害者との示談交渉を行いたいと申し出、②警察から被害者に対し、加害者に連絡先を伝えてもよいかの確認がなされ、③被害者が了承すると警察が加害者に連絡先を伝え、加害者から連絡がなされ、④内容面での交渉、⑤示談の合意がなされる、という流れになります。
このとき、被害者として加害者と直接やり取りをしたくないという場合や、個人情報故に教えたくないという場合は、加害者の弁護人にのみにしか連絡先を教えないという条件を出すこともできます。
また、刑事事件においては、起訴された場合の有罪率が99%を超えていることから、起訴されないことが重要であり、起訴が決まった後では有利に示談交渉を行いにくくなるため、示談交渉を持ち掛けられた場合には早期に合意に至ることもポイントとなります。
加害者から示談が持ちかけられなかった場合でも、被害者が負った損害や慰謝料について、民事的にその賠償を求めることができます。この権利を損害賠償請求権と呼びますが、この権利についても請求できる期間の制限として民事上の時効があり、その期間は、損害と加害者を知った時から3年間、事件の発生から20年間となっています。そのため、警察の捜査によって加害者が判明したときにはできるだけ早い段階で権利行使する必要があります。
傷害・暴行事件の被害にあったときには、なるべく早く弁護士に相談した方がよいでしょう。弁護士に相談することによって、被害届といった書類の作成を依頼することができ、示談交渉を持ち掛けられた場合でも、煩雑で負担の大きい交渉を一任することができ、内容面においても有利な内容でまとめてもらうことができます。
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